ポケベルと親友の話

「もう鳴ることのないポケベルが、忘れていた親友を連れてきた。」

久しぶりの陽気にテンションが上がる⤴️
ブランコをこぎながら「ヤッホー」って叫びたい気分だ。

ねえ、知ってる?
ブランコにも年齢制限があるんだよ。
なんだか複雑な気持ち。

忙しい一週間だった。
昨夜の夜勤中、記録を書きながらうとうとして寝落ちした。
すごく長い夢を見た気がしたけど、実際は5分くらいしか経っていなかった。

懐かしい友人の夢だった。
きっと、先日亡くなった身寄りのない利用者さんの持ち物の中にポケベルを見つけたからだろう。懐かしさの中で、ずっと忘れていた友人のことを思い出した。

腰のベルトにポケベルをつけて、得意げに見せてきた彼。
シャツをインしてね。

「俺は基本的に……」
それが彼の口癖だった。
ひと通り話し終えると、必ず
「俺はおれだから」
で締めくくる。

あまりにも定型文っぽくて、いつもおかしかった。

ふふふ🤭

ほんと“バカなやつ”だった。(もちろん親しみを込めて)

ある時、いつもの調子で身の上話をしてくれた。
「都内にいくつも会社を持つ金持ちのボンボンなんだ」って。
それなのに学生時代はいつも金欠で、ガソリン10Lの代金すら払えない。

「やべー財布に金がねぇや…悪いけど貸して」

ファミレスでも、どこでも同じセリフ。
「基本的に親のすねはかじりたくないんだ。俺はおれだから」
しっかりしてるのか、してないのか…でも憎めないやつだった。

まだ携帯電話もない時代、彼との約束は本当に困った。
時間通りに来たことなんて一度もない。
2時間待ちは当たり前。

でもある日、珍しく時間通りに来たことがあった。
腰にポケベルをつけて、どこか誇らしげに。

シャツインするのも、今じゃ少し気恥ずかしいけど、当時はまだポケベル自体が珍しくて、ちょっとおしゃれに見えた。

彼は左目が青くて、細長い体型で、外国人みたいに見えることもあった。
いつも違う彼女といたけど、僕が嫌がるのを知ってか、僕と会う時は帰らせてくれた。

性格はまるで違った。

今なら、こんないい加減なやつは友達にしないかもしれない。
僕は几帳面で、時間にも正確で、異性にも一途な真面目系。

女の子の好みも違ったけど、車とビールが大好きという共通点があった。

飲酒運転がまだ今ほど厳しくなかった頃、真昼間から缶ビールを買ってドライブしたものだ。

彼と過ごす時間は、本当に楽しかった。
学生時代に出会って、気づけば10年以上の付き合いになっていた。

僕の結婚式に遅刻するだらしなさだけは、最後まで変わらなかったけど。

結婚して疎遠になっても、数か月に一度はビールを飲みながら自慢話を聞いた。

ある朝、警察が来た。
彼が亡くなったことを知った。
自殺だった。

事情聴取も受けた。
最後に会ったのは二日前、いつもの居酒屋だった。

ビールを飲んで、いつも通りの笑顔で、いつも通りの自慢話。
僕は少し酔っていて、何を話したのか、よく覚えていない。

そのとき、彼には身寄りがないことを知った。

彼の話に出てくる友人や家族は、本当はいなかった。

一度だけ、
「お前って、いいやつだな」
と言われたことがある。

だから僕も、
「いいやつでいたい」
と思った。

今でも、その気持ちは変わらない。

処分されてしまう、あのポケベルにも、きっとたくさんの思い出が詰まっていたんだろう。

そう思ったら、またあいつとビールが飲みたくなった。

そして、いつもの数字を送ってやるんだ。

「88951」——ハヤクコイ。

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